基礎物理シミュレーション研究系
准教授 大谷 寛明

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ohtani.hiroaki
研究課題
3次元仮想現実表現の研究及び多階層シミュレーションのための科学的方法論の開拓とその技法確立
研究内容
磁化プラズマ中に蓄えられた磁場エネルギーを開放する磁気リコネクション現象など、プラズマ物理における基礎的な現象を研究しています。研究手法はスーパーコンピュータを使ったシミュレーションで、電子・イオンの運動と電磁場の時間発展を自己無撞着に解くParticle-in-Cell法による粒子シミュレーションを使っています。この方法は膨大な数の粒子を扱うため、コンピュータに効率よく計算させるためのアルゴリズム開発や最適化も重要です。また、大規模なシミュレーションを行えたとしても、扱っている領域の大きさは装置の大きさに比べごく一部ですので、扱っている領域の外の様子をどのようにモデル化するのかも大事な研究テーマになります。このように計算できたとしても、結果を保存するハードディスク容量に制限があるため、すべての計算結果を保存することはできません。計算データを圧縮するための方法論や計算データの代わりに画像データを保存する「その場可視化」の研究にも取り組んでいます。さらに、計算結果は数値の羅列で、そこにどのような物理法則が隠れているかを見つけることはシミュレーション研究の大事な課題です。バーチャルリアリティ技術をはじめとする先進的な可視化技術を使った可視化情報学による研究も進めています。可視化はシミュレーション研究に限らず、実験研究・装置工学へも応用でき、さらには他の自然科学、社会科学、情報科学など学際的な研究が対象となります。プラズマ物理・核融合科学をはじめ、計算科学、計算機科学、可視化情報学などの日本や世界の研究者と共同で研究を推進しています。
主要論文
- H. Ohtani, S. Masuzaki, K. Ogawa and S. Ishiguro: `Virtual-Reality Visualization of loss points of 1 MeV tritons in the Large Helical Device, LHD', Journal of Visualization, Vol.25, No.2, (2022) pp.281-292. DOI: 10.1007/s12650-021-00805-8
- H.Ohtani, M.Shoji, N.Ohno, Y.Suzuki, S.Ishiguro, A.Kageyama and Y.Tamura: `Visualization of Dust Particle Data with Plasma Simulation Results Using Virtual-Reality System', Contrib. Plasma Phys. Vol.56, No.6-8, (2016) pp.692-697. DOI:10.1002/ctpp.201610054
- H. Ohtani, K. Hagita, A. M. Ito, T. Kato, T. Saitoh and T. Takeda: `Irreversible data compression concepts with polynomial fitting in time-order of particle trajectory for visualization of huge particle system', Journal of Physics: Conference Serires, 454, (2013) 012078. DOI:10.1088/1742-6596/454/1/012078
- H.Ohtani and R.Horiuchi: `Open Boundary Condition for Particle Simulation in Magnetic Reconnection Research', Plasma and Fusion Research Vol.4 (2009) 024.
- H.Ohtani, W.Horton, T.Petrosky and R.Horiuchi: `Energy Conversion in Magnetic Reconnection with Chaos Diffusion', Journal of Plasma and Fusion Research SERIES Vol.8 (2009) 203-207.
キーワード
プラズマ粒子シミュレーション 可視化情報学